帰国の際、気をつけておくべきこと
長年住んだ米国から帰国される際、多くの手続きや調整が必要で、どのようなことに気をつければ良いのか、何か抜けが無いか、心配に思われる方もおられるかと思います。今まで色々な方々をサポートしてきて、弊社が気づいた、日本人の皆様が、永久帰国する際に注意すべき重要なポイントをまとめました。このチェックリストは、スムーズな帰国と新しい生活のスタートをサポートするためのものです。ぜひご活用ください。
- 住所変更
IRS:
IRSからのチェックや通知などの重要書類は、確実に連絡の取れる住所に変更する必要があります。ほとんどの方が郵便局で郵便物の転送手続きを行いますが、IRSへは住所変更の連絡を行っていないのが現状のようです。したがって、当局からの書類が帰任後に確実に届く住所を確認しForm 8820を提出しましょう。
Form 8820: https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/f8822.pdf
California Franchise Tax Board
CA州への住所変更は、My FTBのサイトからログインして行うか、Form 3533を使用して行います。郵送で行う場合は下記のリンクよりフォームをダウンロードすることが出来ます。最後の申告書提出後にNoticeやRefundが届く可能性がございますので、CA州への住所変更も忘れずに行ってください。
MyFTB: https://www.ftb.ca.gov/myftb/index.asp
Form 3533: https://www.ftb.ca.gov/forms/2024/2024-3533.pdf
- 銀行口座
帰国後は米国税法上非居住者となるため、米国の金融機関から受取る利息収入(米国源泉所得)は原則非課税となります。米国に銀行口座を残す場合は、Form W-8 BENという受給者が米国税法上非居住者である事を証明する書類を銀行に提出する必要があります。それをしておかないと、利息収入に対し源泉徴収や利息の情報をIRSへ報告され、帰国後にも関わらず、米国での税務申告を求められることがあります。それを避けるためにも、W-8 BENは確実にファイリングしておくようにしましょう。
W-8 BENの有効期限は3年間となりますので、3年毎に新しいW-8 BENを提出する必要がありますので、ご留意ください。
また、米国に口座を置いておく場合ですが、一年以上何もしないと、口座が凍結され、資金が政府の管轄下に置かれてしまうことがあります。これを避けるため、例えば同一銀行内に二つ以上の口座を持っておいて毎月少額移動する自動設定をしておくなどして、口座の凍結を避けるようにするなど、対策をしておくことをお勧めします。
Form W-8 BEN: https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/fw8ben.pdf
- クレジットカード
アメリカのクレジットカードを今後使用する予定がない場合、残高を全額支払った上で閉鎖するようにしてください。稀に、残高が残ったままになってしまい、利息や遅延手数料がと合わせて請求が引き続き来る方がおられます。
もし引き続きアメリカのクレジットカードを保持する場合、カード発行会社に引越しの旨を通知し、新しい住所を通知する必要があります。これにより、不正利用などのリスクを防ぐことができます。外国住所を登録する際には、証明書(例:公共料金の請求書など)の提出を求められる場合がございますので、あらかじめ準備しておくことをお勧めいたします。また、海外での物理的な郵便物の受け取りに不便を感じることを避けるため、オンライン明細書に切り替え、明細書の管理を簡便にすることを推奨いたします。アメリカの銀行口座をお持ちの場合は、そこから直接残高を支払うことができますが、もしアメリカの銀行口座をお持ちでない場合は、カード発行会社に他の支払い方法について確認することをお勧めいたします。
- 税務申告
日本へ帰国された方(米国市民・永住権保持者を除く)は、本帰国された日から米国税法上非居住者となりますが、その日以前に申告義務の上限を超える米国源泉所得があった場合は、米国で所得税の申告をする必要があります。そのような場合、一年を通しての申告ではなく、非居住者または二重身分として申告する方が有利なことは多くあります。会計士に相談し、有利なファイリングをすることをお勧めします。また、申告書と共に居住終了宣言書を一緒に提出する必要があります。
- 永住権(グリーンカード)保持者の場合
米国永住資格の放棄には Form 1-407の提出が必要となります。https://www.uscis.gov/system/files_force/files/form/i-407.pdf
もしも、米国永住権を維持したいが、1年以上米国への再入国の予定がない場合、"Re-Entry Permit"(再入国許可証)の取得を行ってください。通常1年以上米国に再入国をされないグリーンカード保持者の場合、移民局は永住権を放棄したと自動的にみなしてしまいますが、こちらを取得、米国再入国の際に移民局に提示することで、永住権を放棄していないことが認められます。
Re-Entry Permitの取得の流れー
通常USCISが許可証を発行するまでに最大90日程度かかりますので、遅くとも帰任の60日以上前に下記1)~4)のプロセスを行う必要がございます。許可証の送付先は米国外の住所でも可能です。
1) フォームI-131(Travel Documents) の作成。オンラインでのファイリングも可能です。
https://www.uscis.gov/i-131
2) その他に必要な書類
A) proof of your permanent residency status, such as a copy of your green card (both sides) or of
the passport page showing your admission as a permanent
B) two color photos of you, in passport size
C) the application fee, and
D) the biometrics fee.
3) 1)&2)の書類を同封し、I-131のインストラクションに従って、指定された住所へ郵送申請してください。
4) Fingerprinting (biometrics) appointment
USCISが1)~3)の書類を受け取り、不備がない場合、指紋認証登録の要請を送付してきますので、インストラクションに従い指定の場所、日時で指紋を取ってください。(通常この再入国許可証は、発行日から2年間有効となります。)
申請後、Receipt Numberを使い、プロセスの進展をこちらのサイトから確認することも可能です。https://egov.uscis.gov/casestatus/landing.do
- 401(k) アカウント
個人は、401(k)の残高が5,000ドル以上であれば、アメリカの401(k)プランに資金を残すことができます。59歳半以降に引き出しが可能で、幾つかの例外を除けば、早期引き出しには10%のペナルティが課せられます。また、72歳になると必要最低分配(RMD)が開始されます。これは、個人が海外に住んでいる場合でも適用されます。
また、個人は401(k)をアメリカの個人退職口座(Individual Retirement Account , ""IRA"" )にロールオーバーすることもできます。これにより、税引前の成長が継続し、より柔軟な投資選択肢を得ることができます。IRAからの引き出しは、通常アメリカの源泉徴収税が非居住者には適用されますが、2025年時点ではこの税率は日米租税条約により0%まで軽減される場合があります。
401(k)およびIRAからの分配は、個人は日本に税金を支払う義務が生じる可能性があることをご留意ください。
- 電気、ガス、水道、ごみ、インターネット、ケーブルテレビ、携帯電話等の公共サービス
帰国の際に公共両サービスの提供会社へアカウントの閉鎖のお知らせをする必要がございますので、電気、ガス、水道、ごみ、インターネット、ケーブルテレビ、携帯電話等、各アカウント閉鎖をお忘れのないようにお願い致します。この際、過去数か月のクレジットカードの履歴を精査し、漏れが無いか確認することをお勧めします。
- 保険関係(健康保険、歯科保険、生命保険など)
アメリカを離れる前に、健康保険、歯科保険、生命保険などのポリシーを十分に確認し、非居住者には関係の無くなるアメリカの健康保険および歯科保険プランなどを解約することをお勧めします。生命保険に関しては、基本的には保険料が支払われている限り、個人がどの国に住んでいても有効なはずですが、保険会社とご確認ください。帰国後、生命保険を継続する場合、支払い方法について保険会社と確認し、海外に住むことによる影響を十分に理解しておくことが重要です。
- 運転免許証
州から発行される運転免許所は期限付きの為、更新しない場合はそのまま期限が切れ、失効します。頻繁に出張などがあり維持したい方は、同州内の確実に郵便が受取れる住所(例えば勤務先)へ住所変更をしておくことをお勧めいたします。カリフォルニア州の場合、DMVへの住所変更はOnlineにて行うことが可能です。
https://www.dmv.ca.gov/portal/online-change-of-address-coa-system/
- アパートの解約とセキュリティデポジット
家主は通常、州の法律に従い、30日以内にセキュリティデポジットを返金する義務があります。ただし、損害や未払い家賃など、正当な理由に基づく控除がある場合、その分が差し引かれることがあります。デポジットの返金を確実に受け取るためには、転送先住所(アメリカの住所が引き続き使用可能な場合、または日本の国際住所)を家主に提供することをお勧めします。また、少なくともその期間は銀行口座を維持し、手続きを簡便にするため、出来ればACHやワイヤで受け取られることをお勧めします。
- 自宅の売却
帰国に際し、ご自宅を売却される方もおられます。そのような場合、連邦税法上過去5年のうち、2年間居住されていれば、ご自宅の売却益のうち、$250,000 (夫婦合算申告の場合$500,000) を控除することが出来ます。特に居住期間が2年以下の場合、帰国を条件を満たすまで先延ばしすることも考えても良いかも知れません。税法は州により違うので確認が必要ですが、例えばカリフォルニア州はこの税法に概ね準拠します。
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